2009年03月11日

第9回文化公演映像と脚本

第9回文化公演映像と脚本
平成20年11月22日(土)
伊集院文化会館で
午後2時30分より
「第9回文化公演」がおこなわれました。
多くのお客さんがこられ伊集院文化会館が満杯になったことをお礼申し上げます。

「スタートから1章」

「第2章・第3章」

「第4章・第5章・6章」

「第7章」

「第8章」

「第9章」

「10章」

「エンドダイジェスト」


「脚本」
第9回文化公演 演劇タイトル「自己増殖型コンピュータPandora」原作 KF

神ゼウスが地上に送り込んだ人類最初の女性パンドラは、「決して開けてはならない箱」と「好奇心」を与えられました。
パンドラは、好奇心を抑えきれず、開けてはならない箱を開けてしまいました。
そうすると、その箱からは、病気・貧困・犯罪などのあらゆる悪が、人間の世界に飛びちったのです。
パンドラがあわてて蓋を閉めますと、「わたしも、外へ出して・・・」と、中から弱々しい声がしました。
パンドラが「おまえは、だれなの?」とたずねますと、「わたしは、希望です」とこたえました。
その箱の中にはたった一つ希望だけが残されたのです。以来、人間たちには、どんな酷い目にあっても、
希望だけは残されているのです。
(ギリシャ神話「パンドラの箱」より)

序章 3056年
「 俺たちはPandora停止のために子供のころから戦士として育てられた。
俺たちの誰かがPandora停止を成功させないと人類は滅亡する。
今日、任務のため多くの仲間とPandora中心部への侵入を試みる。人類に幸運を!」 (2345番手記)
ダンス部ダンス

第1章 3056年 自己増殖型コンピュータPandoraの中心部
(ディスプレイ表示)
製作者 十条寺 博 作動目的 地球環境保全のため 全世界のマシン運営 
人類に警告 「地球環境をまもれ」人類 警告を無視 再度 警告 「地球環境をまもれ」
人類 警告を無視 警告 人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 
人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 
人類 警告を無視 地球環境悪化 補修作業効果なし 地球環境保全最善策 「人類撲滅」
「人類撲滅」「人類撲滅」人類撲滅
警報!Pandora中心部「時空脳波シンクロ装置ルーム」付近、異物生体反応多数侵入 駆除実行 警報 205通路侵入25個体駆除成功 308通路侵入36個体駆除成功 401および400系通路侵入個体完全駆除 100系から900系通路侵入個体98%駆除成功 警報警報 「時空脳波シンクロ装置ルーム」異物生態1個体侵入 生体反応 弱 「時空脳波シンクロ装置ルーム」侵入1個体以外 完全駆除
「時空脳波シンクロ装置ルーム」、駆除システムなし。駆除不可能。
(ディスプレイ表示ここまで)
舞台下手から 青年が走ってくる。
青年は怪我をしている。服は血だらけである。黒い上着を脱いで腕の傷を 布で縛る動作をする。
青年は、バックから透明なボードを取り出す。ヘルメットらしき物をかぶる。
(ディスプレイ表示)
「時空脳波シンクロ装置ルーム」よりPandoraに指示入力あり 指示入力拒否操作 作動
Pandora中枢部からの入力拒否操作 不成功 入力受了 時空脳波シンクロ装置作動
ターゲット年月 2008年11月 ターゲット場所 ASFN457HRIJ690 ターゲット個体 湯浅 かすみ 17歳 女性 ターゲット捕獲中 ターゲット捕獲成功
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 開始 Pandoraへのシンクロ脳波接続 
シンクロ脳波による入力開始
(ディスプレイ表示ここまで)
青年は頭を抱えて叫び声を上げる。
暗転 吹奏楽部演奏

第2章 2008年 かすみの部屋
(ディスプレイ表示)
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 継続中 Pandoraへの シンクロ脳波 接続中
シンクロ脳波による Pandora停止命令作動開始 
Pandora停止命令パスワード 1 「湯浅かすみ脳波確認」 脳波確認動作 作動開始 
(ディスプレイ表示ここまで)
かすみがヘッドホーンで音楽を聴いている。
青年が頭を抱えて下手からやってくる。
青年「うあーノイズが・・・おい! おい! やめろ!音を聞くのをやめろ!」
かすみ驚いて青年を見る。
かすみ「きゃー! だれ!泥棒!」
青年「まて!話を聞け!」
かすみ「だれかー!泥棒!」
青年「黙れ!」
上手から姉のひかりがあわてて入ってくる。
ひかり「かすみ!どうしたの!」
かすみ「お姉ちゃん!大変!泥棒!警察!」
ひかり「え!どこ!」
かすみ「ほら!あそこ!」
ひかりには青年が見えない。
ひかり「なに!誰もいないじゃない!」
かすみ「あそこにいるじゃない!見えないの!」
ひかり「朝から 何いってんの もう 心配して損しちゃった! せっかく今日仕事休みだっていうのに!」
ひかり 上手に引っ込む。
かすみ「お姉ちゃん・・・・・」
青年「他の人間には俺は見えない。それに 俺は泥棒じゃないし怪しいものでもない。」
かすみ「怪しいでしょ!人の部屋に勝手に入ってきて!出てってよ!」
青年「お願いがあって来た!聞け!」
かすみ「お願い?それってお願いする態度じゃないんじゃない!聞けって!」
青年「どうしたらいいのだ!」
かすみ「きちんと座って、お願いいたしますって態度するのよ!」
青年正座して頭を下げ「お願いします。これでいいのか?」
かすみ「まあまあかな?泥棒じゃないみたいだね。
で!お願いって何?お願い聞いてあげたら出てってくれる?」
青年「湯浅かすみ 17歳 だな?」
かすみ「何よ 私のことストーカーしてんの。」
青年「今日 美容院に行くはずだな?」
かすみ「ストーカーさん?なの?」
青年「おれもついていく。心配ない!他の人間には俺は見えない!迷惑はかけない!」
かすみ「やめてよ!ストーカーって 犯罪だよ!それに気持ち悪いじゃん!あんた 悪魔?幽霊?」
青年「お前の頭の中に俺がいる。お前にだけ俺が見える。しばらくは俺が見えるが気にするな。」
かすみ「馬鹿いってんじゃないよ。誰にも見えない人が見えて気にならないわけないでしょ。
ストーカーやめてよ、悪魔か幽霊かわかんないけど迷惑なのよ。」
青年「しばらくそばにいる。とにかく今日は美容院に行け!」
かすみ「やだー消えてよーーーーーーー」暗転
ヘアーデザイン科発表

第3章 2008年 学校の屋上
(ディスプレイ表示)
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 継続中 Pandoraへのシンクロ脳波 接続中
シンクロ脳波による Pandora停止命令作動中
Pandora停止命令パスワード 2 「文化祭の思い出脳波確認」脳波確認動作 作動開始
(ディスプレイ表示ここまで)
かすみが座っている。傍らに青年が立っている。
かすみ「はああーーーーーー。」ため息
青年「そろそろ、時間じゃないのか?」
かすみ「はああーーーー。」
青年「文化祭の発表見ないのか?」
かすみ「いちいち、指図しないでよ。ストーカーされてうんざりなんだから。
なんで、幽霊がわたしにつくのよ。ほかの人に行ってよ。」
青年「おまえでないとだめなのだ。それより、時間じゃないのか?文化祭の発表見ないのか?」
かすみ「はああーーーーー。」
下手から、同級生の百合子が駆け寄ってくる。
百合子「あ!みっけ!かすみ!文化祭の発表始まるよ!商業科のプレゼンテーションと福祉科の手話の歌!」
かすみ「わかってる。」
百合子「見ないの?見に行こうよ!発表!・・・・・・今日元気ないねかすみ」
かすみ「元気もなくなるよ!ストーカーされてちゃね!」
百合子「何 たそがれてんのさ!さ!行こう!」百合子 かすみの腕を取り下手へ連れて行く。
青年も後を追う。暗転
商業科プレゼンテーション

第4章 2008年 文化祭発表中の体育館
(ディスプレイ表示)
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 継続中 Pandoraへのシンクロ脳波 接続中
シンクロ脳波による Pandora停止命令作動中
Pandora停止命令パスワード 2 「文化祭の思い出脳波確認」 脳波確認動作 作動中
(ディスプレイ表示ここまで)
椅子に後ろ向きにかすみと百合子座っている。後ろに青年が立っている。
百合子「プレゼンテーションすごいね。よく調べたね、たいへんそう?」
かすみ「・・・・・・・・」
青年「プレゼンテーション!ていうのか!初めて見た!原始的なコンピュータ操作だがおもしろい。」
かすみ「・・・・・・」
青年「お前たちは、こういうものをみて楽しんでいたのか?」
かすみ「ごちゃ ごちゃ いわないで うるさいんだから!」かすみ怒る。
百合子「え!なんにもいってないよ!」
かすみ「あ!いえ!気にしないで!独り言!」
青年「次の手話の歌ってなんだ!手話って何のことだ?」
かすみ後ろを振り向いて、青年をにらむ。「だまってて!」
百合子「え!なんにもいってないよ!」
かすみ「独り言だから気にしないで!」暗転
手話の歌

第5章 2008年 かすみの部屋
(ディスプレイ表示)
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 継続中 Pandoraへのシンクロ脳波 接続中
シンクロ脳波による Pandora停止命令作動中
Pandora停止命令パスワード 3 「エステの思い出脳波確認」 脳波確認動作 作動開始
(ディスプレイ表示ここまで)
かすみがヘッドホーンで音楽を聴いている。
青年「やめろ!音を止めろ!頭が!」青年は頭を抱える。
かすみ「・・・・・・・」
青年「やめろ!たのむ!」
かすみヘッドホーンをはずす。
かすみ「いやなら、消えてくんない。もういい加減ストーカーやめなさいよ。」
青年「それは、できない。お前の脳波が必要なのだ。」
かすみ「脳波?なにそれ。」
青年「おまえに説明しても理解できない。それより、今日、おまえはエステに行く。準備しろ。」
かすみ「エステ?なにいってんの、私がなんでエステにいくのよ。お姉ちゃんじゃあるまいし。」
青年「いや、今日 今から おまえは初めてエステサロンに行く。文献が残っている。」
かすみ「文献?なによそれ。」
かすみの携帯のベルが鳴る。
かすみ「はい あ!お姉ちゃん! 何?  え? エステ? お姉ちゃんの部屋のバック? わかった。」
かすみ携帯を切り、青年を見る。
かすみ「なぜ!お姉ちゃんがバックにエステ割引券忘れていったって知ってたの?
なぜ 私がエステサロンにそれを届けに行くことになること知ってたの?」
青年「詳しくは知らない。でもエステサロンに行ったことは 文献に残っている。さあエステサロンに行け。」
かすみ「説明しなさいよ。ねえ!」
青年「さあ行け。」
かすみ「ちゃんと説明しなさいよ!」暗転
エステ実演

第6章 2008年 エステサロンからの帰り道
(ディスプレイ表示)
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 継続中 Pandoraへのシンクロ脳波 接続中
シンクロ脳波による Pandora停止命令作動中
Pandora停止命令パスワード 4 「レストランの思い出脳波確認」 脳波確認動作 作動開始
(ディスプレイ表示ここまで)
(この場面は舞台セットの時間が必要なので上手から歩いてくるところからはじめ、下手引っ込むまで照明をつけておく)かすみと姉ひかりが道路で立ちどまり話をする。かすみの後ろには、青年が立っている。
ひかり「かすみ、ありがとうね!友達のエステサロン今日が開店だったの。
開店記念にエステ割引券もらったんだけど、持ってくるのを忘れちゃって。」
かすみ「いいよ、おかげでわたしも生まれて初めてエステしてもらったんだから、顔だけだったけどね!」
ひかり「割引券2枚もらっててよかった。」
かすみ「それより、約束忘れてないでしょうね!ビストロ城西で食事おごってくれる約束。」
ひかり「かすみ ちゃっかりしてるんだから、ちゃんとおごりますよ。でも高いのはやめてよ。
給料日前なんだから。」
かすみ「エステも食事もおごってもらってなんだか悪いね。」
ひかり「ほんとに悪いっておもってないでしょ。」
かすみ「わかっちゃった?」
ひかり「やっぱりね。せっかく全身エステの割引券だったのに、顔だけでよかったの?もったいないじゃない。」
かすみ「ちょっと事情があってね、今日は、全身エステする気分じゃないの!」
ひかり「なんで?」
かすみ「誰かに見られてるのに全身エステなんかできないもん。」青年をにらむ。
青年「え?おれ?しかたないだろ!」
かすみ「何がしかたないんだか!」
ひかり「なに?」
かすみ「なんでもない。それより食事!食事!」下手に3人が引っ込む。
ビストロ城西

第7章 2008年 かすみの部屋
(ディスプレイ表示)
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 継続中 Pandoraへのシンクロ脳波 接続中
シンクロ脳波による Pandora停止命令作動中
Pandora停止命令パスワード 5 「日本舞踊の思い出脳波確認」 脳波確認動作 作動開始
(ディスプレイ表示ここまで)
かすみが忙しそうに身支度をしている。
青年「今から日本の踊りを見に行くのだな!」
かすみ青年をゆっくりと見て。
かすみ「なに?あんた何者?私がすること全部知っているようなことばかりいうよね。気持ち悪い。」
青年「文献で残っている おまえのしたこと全部覚えた。
子供のころからおまえのしたことをすべて覚えさせられた。何度も何度も。」
かすみ「わたしのしたこと?子供のころから?」
青年「それが俺の使命だった。俺だけじゃない。多くの子供が覚えさせられた。」
かすみ「私のしたこと・・・おぼえさせられた?わたしがこれからすることを何で覚えさせられるのよ。
頭おかしいんじゃない。」
青年「おまえは、今から、友達が日本の踊りをするのを見に行く
いくところは、たしか、伊集院文化会館だった。」
かすみ「え?どういうこと?」
青年「言ってなかったか?おれは未来の人間だ。未来からお前の頭の中に話しかけている。
お前がこれからすることの脳波をPandoraコンピュータに入力している。」
かすみ「未来?コンピュータ?何?詳しく 話しなさいよ!」
青年「話しても お前には理解できない。」
かすみ「馬鹿にしてる?あんたの話ぐらいわかるわよ。
もう1週間もストーカーしてるんだから、説明してくんないと気持ち悪すぎるじゃない。」
青年「わかった。驚かず聞け。」
かすみ「これ以上何があったら驚くのよ。」
(ディスプレイ表示)ここのディスプレイは会話と平行して表示する。
製作者 十条寺 博 作動目的 地球環境保全のため 全世界のマシン運営 
人類に警告 「地球環境をまもれ」人類 警告を無視 再度 警告 「地球環境をまもれ」
人類 警告を無視 警告 人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 
人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 人類 警告を無視 
人類 警告を無視 地球環境悪化 補修作業効果なし 地球環境保全最善策 「人類撲滅」
「人類撲滅」「人類撲滅」人類撲滅
(ディスプレイ表示ここまで)
青年「おれがいるのは、3056年。」
かすみ「3056年?・・・・ずっと未来じゃない。え?どういうこと?」
青年「2100年ごろ、おまえの孫の 十条寺博士が Pandoraという自己増殖型コンピュータを作った。」
かすみ「私の孫が作った?Pandora?」
青年「Pandoraは、
自分で考えて便利な機械やコンピュータを作り進化するコンピュータだ。
Pandoraができて人間はとても便利になった。
人間が働かなくてもPandoraが、便利な道具を作って、運営してくれた。
しかし、3000年いきなりPandoraは狂い、人間を抹殺し始めた。
世界の最新機械や兵器、そしてコンピュータすべて Pandoraが支配し、
人間がきづいたときには、ほとんどのコンピュータや兵器は人間が操作することができなくなっていた。
人間はPandoraと戦ったが、人間に勝ち目はなく、家族・友人・ほとんどの人間は抹殺された
わずかに生き残った人間は、長い年月Pandora停止を試みた。」
かすみ「停止?人間とPandoraの戦争?」
青年「そうだ!われわれ3056年の人間は、今Pandoraと戦っている。早くPandoraを停止しないと、
人類は滅亡する。」
かすみ「人類が滅亡する?大変じゃない早くPandoraを停止しないと!」
青年「そう!Pandoraを停止するためにお前が日本舞踊を今から見に行かなければならない、急ぐのだ!」
かすみ「何?何で私が日本舞踊を見に行くことがPandoraを停止することになるの!」
青年「時間だ!説明している時間はない。早く行け!」暗転
日本舞踊発表
(ディスプレイ表示)第8章へつづく(ディスプレイ表示ここまで)

休憩 ゲスト演技

第8章 2008年 かすみの部屋
(ディスプレイ表示)
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 継続中 Pandoraへのシンクロ脳波 接続中
シンクロ脳波による Pandora停止命令作動中
Pandora停止命令パスワード 6 「ファッションショーの思い出脳波確認」 脳波確認動作 作動開始
(ディスプレイ表示ここまで)
かすみが青年を向いて話し始める。
かすみ「あんた!本当に未来人なの?」
青年「そうだPandoraを停止するために未来から、お前に話をしている。」
かすみ「事情をくわしく話しなさいよ。そうしないと何も協力しないよ。」
青年「Pandoraを停止できるのはたったひとり!お前だけが、Pandoraを停止できる。」
かすみ「え?私がPandoraを止められるの?」
青年「十条寺博士が、祖母であるお前の脳波で停止できるようにつくった。」
かすみ「え?なぜ私?」
青年「それは、祖母であるお前が、
孫の十条寺博士に手紙や日記・そして、遺書にまでそうするようお願いをしている。」
かすみ「私が?お願い?」
青年「そうだ、お前が十条寺博士にお願いをしている。
その上わざわざ2008年11月の記憶の脳波まで、十条寺博士に残した。
そして2800年Pandoraは時空脳波シンクロ装置を作った。それで、今お前と交信ができている。」
かすみ「時空脳波シンクロ装置?・・・・・・」
青年「おそらく、Pandoraがシンクロ装置を作ったのも、お前が十条寺博士残した、お願いだと思う。」
かすみ「わたしが?」
青年「そのシンクロ装置はPandoraが管理する中心部にある。人間はPandora中心部に侵入を試み続けた。
中心部に侵入するのに多くの年月と犠牲をはらったが、やっと、おれ一人だけたどり着いた。
そして、Pandora停止を今試みている。」
かすみ「停止?・・・え!人類が滅ぶ?」
青年「そうだ。」
かすみ「なんでそんな大事な話を早くしなかったのよ!」
青年「話しても理解してもらえないと思った。でも、おまえの脳波はPandoraに送り続けている。
もう少しでPandoraを停止できそうだ。」
かすみ「私は、私は何をすればいいの?」
青年「Pandora停止の最終パスワードを入れるまえに、お前が湯浅かすみ本人である認証をする。
お前が十条寺博士に残した2008年11月の記憶の脳波による、本人認証はもうほとんどクリアした。認証に必要な思い出の脳波は・・・あと、ひとつ!
ファッションショーを誰かと一緒に見に行った記憶で認証が完了する。」
かすみ「ファッションショーは、明日見に行く予定!でも!誰と見に行くの?」
青年「わからない。それは文献に残っていない。ただ、おまえにとって、とてもよい思い出だったようだ。」
かすみ「だれ?私!一人で見に行くんだよ!券も1枚しか持っていないし。」
青年「おれには、誰だかわからない!」
かすみ「一人でみにいったら?」
青年「Pandoraは、お前を認証しない。そして、Pandora停止は失敗する。」
かすみ「だって!・・・一人で見に行くんだよ!どうすればいいの?」
暗転
ファッションショー

第9章 2008年 かすみの部屋
(ディスプレイ表示)
侵入個体と湯浅かすみ 脳波シンクロ 継続中 Pandoraへの シンクロ脳波 接続中 
シンクロ脳波による Pandora停止命令作動中 Pandora停止命令最終パスワード 
「停止命令最終パスワード脳波確認」脳波確認動作 作動開始
(ディスプレイ表示ここまで)
青年「ファッションショーは一人で見にいった。Pandora停止は失敗か・・・・」
かすみ「わたし、わかったの。」
青年「何が?」
かすみ「ファッションショー2人で見に行ったよ!」
青年「いや一人だった。ずっと、おれはそばにいて、お前が一人だったことを確認した。」
かすみ「2人だったよ・・・・・・・・・・・あなたとね!」
青年「おれ?・・・・・・・・・おれか?」
かすみ「そう!ずっと!2人だったよ。」
青年「そうか!・・・おれか!・・」
ピーと言う音が聞こえる。
青年「認証が!認証が成功した。」
かすみ「わたしは、これから何をすればいいの?」
青年「お前がパスワードを心の中で叫ぶ!そうするとPandoraは停止する。」
かすみ「パスワードは?」
青年「俺のなまえ・・・・き ぼ う・・・」
かすみ「希望?あなたの名前?」
青年「そう、俺の名は、パスワードと同じ、希望2345番。
子供のころからPandora停止の使命をもって育てられた。
子供のころからお前のことをずっと覚えさせられた。 だから、・・・・お前にあえてうれしかった。
おれはもう長くない。でも任務を果たせそうだ。」青年は、立ってもいられない状態。
かすみ「わたしが 希望 と心の中で叫んだら、Pandoraは停止するのね!」
青年「そうだ、・・・そして、お前との交信も切れる。」
かすみ「もうあえないの?」
青年「もう会うことはない。」
かすみ「・・・・・・・・私がパスワード言わなかったら?」
青年「人類は滅亡する。」
かすみ「わかった・・・・・」
青年「パスワードを言う前に、・・・お前のダンスを見せてほしい。」
かすみ「何で!ダンス?」
青年「お前は、将来ダンサーになる。子供のころから、お前に会えたら、お願いしようと思っていた。」
かすみ「だって、まだ、習いはじめだから下手だよ。それでも、見たいの?」
青年「ああ!子供のころからの夢だった。」
かすみ「私のダンスなんか・・・・、夢って・・・・・」
青年「でも、もう時間がない俺の意識が薄れてきつつある。ダンスはあきらめる。」
かすみ「意識が薄れるって?まさか怪我してるの?」
青年「ああ!」そういってジャケットを開いて怪我を見せる。
かすみ「・・・・ビデオでいい?前の公演で踊ったダンスの」
青年「ありがたい。これで、思い残すことはない。・・・・・安心して・・死ねる。」
かすみ「馬鹿!死なないでね!生きるのよ!」
青年「そうか!・・・生きるのか!がんばってみるよ。」
かすみ「うん!・・・じゃービデオ見ながら心の中で あなたの名前を呼べばいいのね。」
青年「ああ!交信がとぎれたら任務成功だ。そして、おまえと・・・・さようならだ。」
かすみ「さよなら・・・・なのね」暗転
ダンス発表
第10章 2008年 かすみの部屋
(ディスプレイ表示)
最終パスワード 認 証 Pandora 作 動 全 停 止
(ディスプレイ表示ここまで)
かすみが下手で一生懸命お祈りしている。(ピンスポット)かすみ涙声。
かすみ「希望 希望 希望 希望 希望 希望 希望 希望 希望。」
かすみ「ねえ! 希望・・・・・」
かすみ「・・・・・・・・」
かすみ「成功したのかな? き ぼ う・・・・・。」
かすみ「もう   あえない んだよ ね・・・・」
かすみ「・・・・・・・・・」
かすみ涙(ピンスポット消える。)
(上手で宮脇にピンスポット)
エンディング曲 宮脇が歌う 
(宮脇の歌の中盤に中央に青年が倒れていて動かないのをピンスポット)
(宮脇の歌の終盤で青年がゆっくりと立ち上がり、中央の階段に向かって歩き、階段の上手に消える。)

フィナーレ 



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Posted by kf at 21:31 │演劇

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